1985年に発表されたバウチャーの「無歯顎患者の補綴治療」によると、義歯の粘膜面には7つの条件(*)を満たすことが必要とされています。コンフォートの技術は、これら7つの条件を見事にクリア。「噛みしめられる」「痛みをやわらげる」「外れにくい」義歯が完成しました。
コンフォートとは
コンフォートは、生体用シリコーンを義歯の粘膜面に裏装材として生体用シリコーンで覆う、まったく新しい粘膜面裏装加工技術です。
コンフォート5つのポイント
1. 変質しにくい
従来の軟性裏装材には硬化や劣化など、時間の経過とともに変質してしまうものが多く見られました。
【そこでコンフォートでは】
裏装材として生体の組織液による影響や経年変化が極めて少ない生体用シリコーンを使用。変質しにくい裏装加工を実現したのです。
生体用シリコーンの特性
<物性>
●硬度:12 ●引っ張り強度:45(ppi) ●引っ張り伸び:600%
●耐熱性:連続使用可能最高温度260℃ ●ガス経過性:酸素・炭酸ガスの透過性 ●快適性:無味・無臭
<生体適合性>
●生体の血液や体液などの組織液によって変性しにくい。●周囲組織に炎症を起こさず異物反応が少ない。●発癌性がない。●アレルギー反応や過敏性を起こしづらい。●減菌操作により変性しない。●組織内に長時間さらされても、抗張力や弾性などの機械的性能の劣化が少ない。
生体用シリコーンの医療応用例
<脳神経外科> 水頭症シャント、脳室ドレナージ
<心臓外科> ペースメーカー用リード線、コロナリーカニューレ
<一般外科> フォーリーカテーテル、Tチューブ、静脈カテーテル
使用しているシリコーンの許認可
製品名 コンフォートデンチャーシリコーン
医療機器承認番号 21900BZY00060000
製造元 株式会社バイテック・グローバル・ジャパン
2. 剥がれにくい
これまでの軟性裏装材はレジンへの接着に接着剤を使っていました。実は、この接着剤の劣化こそが、早期の剥がれの原因と考えられます。
接着強度疲労試験
接着強度疲労試験では、シリコーンが破断してもレジンとの剥離は発生しませんでした。

●レジンとコンフォートの接着面に、40万回振動を付与した剥離実験
3. 吸着力が向上する
通常義歯は、唾液による粘着力や辺縁封鎖による吸盤効果で吸着されています。しかし、咀嚼にともなう水平の動きに対しては、すき間から空気が入り、辺縁封鎖を持続できなくなる場合がありました。
【そこでコンフォートでは】
生体用シリコーンの持つ適度な弾性によって吸着性を向上。 また、ズレが起きても封鎖を維持するため、咀嚼による顎の上下左右の動きにも対応。通常の義歯以上の吸着性を実現しました。
コンフォート義歯の吸着メカニズム

<唾液による粘着力>
通常義歯と同様の構造です。
<コンフォートの弾性による辺縁封鎖の維持>
通常の義歯の場合、水平の動きに伴うズレに対しては密閉状態を持続できなくなる場合があります。コンフォート義歯では、これまでの吸着のメカニズムに加え生体用シリコーンの弾性で隙間をつくらないこと(=把持力)により、ズレを吸収し辺縁封鎖の状態を維持します。
安定剤などの弾性が低いものは、ズレによって発生する隙間は埋まることがありません。
4. 咬合力が向上する
通常の義歯が持つ最大の問題は「噛むと痛い」ことです。この問題こそが、入れ歯にすると噛む力が70~80%も落ちるといわれる原因になってります。
【そこでコンフォートでは】
表面硬度がやわらかく適度な柔軟性があるため、咬合力の適度な分散と粘膜への刺激が軽減。噛みしめることでの部分的なおよび全体的な痛みを抑え、通常義歯の2倍以上咬合力を実現しました。
咬合力テスト

被験者5名 両側による咬合(大阪歯科大学)
■すべての被験者において、義歯のみの状態(29.2N)より、ティッシュコンディショナー処理(45.5N)のほうが大きな値を示しました。
■義歯のみの状態とコンフォート加工後を比較したとき、すべての被験者において咬合力の増加に伴う圧痛、疼痛が感じられないと報告されました。
5. 粘膜負担を緩和する
合っていない義歯は論外として、完全適合した義歯でも粘膜にかかる負担は均一ではありません。これが骨吸収の大きな原因にもなっています。
【そこでコンフォートでは】
粘膜に近い弾性を持つ生体用シリコーンによって、粘膜や歯槽骨にかかる負担を軽減します。
粘膜負担と骨吸収のメカニズム


(図1)粘膜および粘膜下歯槽骨の形状について (図2)粘膜負担と骨吸収のメカニズム
先述のように、粘膜の厚さや歯槽骨の形状は均一ではありません(図1)。咬合圧が加わることで、粘膜が薄いところほどダメージが大きくなり、結果として骨吸収を招くと考えられています。吸収が進むと義歯が合わなくなり、また別のところへの負担がかかり連鎖的に骨吸収が進んでいくのです。(図2)。
安定剤と骨吸収

安定剤は粘性が高く弾性が低いため、咬合圧によって粘膜が薄く硬いところから厚く軟らかい方向へと流れていきます。結果として、一時的に痛みがやわらいでも、骨吸収(退縮、廃用萎縮)を助長する方向へ進むと考えられます。



